奇怪な業界にモノ申す、精神科医田中宗親のブログ

stat rosa pristina nomine, nomina nuda tenemus
過ぎにし薔薇はただ名前のみ、虚しきその名が今に残れり
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ベンゾジアゼピンがダメな理由。
さて、今回はベンゾジアゼピン系(抗不安薬、睡眠薬)では
1、何故治らないか
2、何故止められないか

という話を致しましょう。

そこの先生、もしくは薬剤に詳しい患者様。
「依存性があるからでしょう」
と思いましたね?

そんな教科書に載っている事をわざわざ書きません。

デパスなどの依存性が極めて高い薬剤のみならず
他のベンゾもなかなか止められません。臨床的な印象では抗不安薬ではデパスに次いでソラナックス(メデポリン、アルプラゾラム)が依存性の方が多い印象ですかね。

答えは馬鹿馬鹿しいくらい簡単な理由で「病気が根本的に治らないからいつまでたっても止められない」のです。

例えば「電車に乗るとひどく不安になる」と言われて抗不安薬を出されたとします。
(上記はパニック障害、と呼ばれている物ですが、私はパニック障害という”病名”でひとくくりにすることには否定的です。理由はいずれ。)

確かに飲めば不安は取れるでしょう。

・・・ほんの一時(いっとき)だけは。

抗不安薬は(例外的な使い方を除いて)「対症療法」(その場しのぎ)でしかないのです。ただ、その場をしのげば問題なくなるなら抗不安薬は有用な薬剤と思います。(演奏会の本番とか、重要な試験とか。)

全ての患者様が望んでいる事は
「一粒も薬を使わなくても心安らかに暮らせるようになる」
これに尽きるでしょう。

私はそれこそ”完治”と呼んでいます。

医師たる物、全力で全ての患者様を「完治に向かわせる」姿勢で居る事が本来有るべき姿と思います。

そして「根治療法」で無い限りそれは出来ない。

つまり
「電車に乗ると動悸がして息苦しくなります」
「では抗不安薬を出しときますね。お大事に。」
・・・と脊髄反射で答える医師は
「始めから治す気が無い」
ということです。
(最もSSRIぐらいで根治なんてそう簡単にしませんが。)

しかも前回書いた通り
”長期間飲むと脳に消えぬ傷害が残る”わけです。

”では根治療法ってどうやるの?”
と気になりますよね?

それは病気によって変わります。
大切な事は”因果関係を明らかにする”という事です。

それはおいおい書くとして

次回は”睡眠障害について〜睡眠薬に対する疑義”
です。


by doctor mental -ドクターメンタル 田中宗親