奇怪な業界にモノ申す、精神科医田中宗親のブログ

stat rosa pristina nomine, nomina nuda tenemus
過ぎにし薔薇はただ名前のみ、虚しきその名が今に残れり
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良き睡眠を摂る為に〜睡眠薬ではまず解決しない〜
『眠れないならその原因を断つ治療をするべき』


多くの患者様を毎日診療する中で、
ほぼ例外無くどのかたも睡眠障害を患っております。

睡眠障害というと「眠れないこと」と皆様思われる様です。
外来で「睡眠時間はいかがですか?」と訊ねると「私は眠れてはいます」とお答えになる患者様もけっこういらっしゃる。「眠れてはいるので大丈夫です。休日なんて一日中眠れちゃうくらいです。大丈夫。」

いやいや、とんでもない。
どこも大丈夫ではないです。

不眠(入眠困難、中途覚醒)は”睡眠障害としては相当悪い状態”であり、長く眠りすぎるいわゆる”過眠”こそが睡眠障害の中核です。

過眠とは、”睡眠が浅いから沢山寝てしまう”ということなのです。

御勤めの方だと「休日は12時間くらい寝ちゃうんだよね」というような状態です。

過眠は必ず精神状態や神経状態を徐々に悪化させ
終いには不眠に至る道です。

そして睡眠障害は”万病の元”と外来で言い続けて来ましたし、
それを裏付ける論文が海外でどんどんと新たに出て来ております。

端的に言うと、死亡リスクが物凄く跳ね上がります。

あと不眠でネットゲーム(FPS)をやっているゲーマーが突然死、とはよくありますね。
ナチスドイツの実験によると「1週間眠らせないと人は、死ぬ」そうですので上記の内容は至極当然の帰結でしょう。しかし凄いことするなあ。


・・・が、それは今回のお題ではありません。
これも追々論文を掲載して参ります。
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睡眠薬では良質な睡眠は摂れない

さて、睡眠障害と言えば睡眠薬についてです。

睡眠薬は我が国では多く処方されています。
しかし、「睡眠障害は万病の因であり、きっちりと治すべき」と主張する私は睡眠薬の処方を好みません。ケースによっては頓服対応で超短時間型はちょくちょくお出ししますが。(例えば「夜勤、日勤と人間の生理を逸脱した勤務体制で睡眠リズムが構築出来ない大変な生活を送られている方々」などです。看護師さんとか。頭が下がります。日本の看護師の勤務体制を聞いてアメリカの医師のお偉いさんが絶句した、というニュースがありました。)
毎日睡眠状態が悪い方の場合、あまり出しません。


何故なら全然良い睡眠が摂れないからです。


睡眠薬ではちっとも深く眠れない。
多剤併用しても同じ事。
ロヒプノールにベゲタミンA足したって駄目。

「この前出した睡眠薬で眠れましたか」
「はい、眠れました」
「大丈夫ですね、また来て下さい。」
全然大丈夫では有りません。

それでは良き睡眠とは何か?

別に「脳波を測って徐波がどうの」とか言及するまでも有りません。

臨床的にはものすごく簡単に言えば

1、悪夢を見ない事
2、7〜8時間寝て起きたらスカッと起きられる。
  その上で日中眠くなく元気に活動可能。過眠も無い。

ということですが、睡眠の質についての詳細は追々致します。
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睡眠障害の元を絶つべし

さて、睡眠障害には必ず理由があります。
(世の中には超希少な”眠れなくなる遺伝子病”というものもあったりしますが。致死率100%)

一番多い理由は”ネガティブな感情”です。

その王者こそ「不安」という感情でしょう。
不安があれば深く眠れる訳ありません。


・・・当たり前と思いましたね?
その”当たり前の様に思える事”が、意外に考えられていないのです。

どんな物にも”因果関係”という物が有ります。

因果とは

因(もと)が有って
果(結果)となる

という物です。

そして因(もと)を断たない限り
結果は消えません。

睡眠薬とは”強制的に眠らせるもの”です。
しかし当然ですが”睡眠薬”を使っても不安は消えません。
人は寝てても悪しき感情は残ります。

睡眠薬では睡眠の抵抗勢力である”不安”の炎は消えず、常に燃え続けている状態にあります。


抵抗勢力が燃えている状態で無理矢理に眠るので、浅い睡眠にしかならないのです。

途中で起きたり
日中眠かったり
眠りすぎたり
疲れが取れなかったり

睡眠障害の原因が不安なら、不安を断つのが当然です。

不安が無くなって安らかな気持ちになれば
睡眠が悪化する理由は無い訳ですから、真に良き睡眠が摂れる。


・・・とても簡単な理屈ではないでしょうか?

以下良く有るパターン
〜睡眠薬を飲んで一応は眠れるようになった。
〜でも
良き睡眠が摂れないが故に、治らない。
〜根本的に治らないので延々と睡眠薬を使い続ける事になる。
〜そして薬に耐性が出来て、さらに状態が悪化して睡眠薬が効かなくなる。
〜結果睡眠薬が2剤、3剤と増えて行く。
〜それにより加速的に脳にダメージが増えて行く。
・・・『詰み』です。


まとめると
「眠れないならその原因を断つ治療をするべき」
ということです。

・・・これだけ見ると簡単過ぎて馬鹿みたいですが。


しかし原因は不安だけとは限りません。
複数要因が隠れている事も多々有ります。

睡眠時無呼吸症候群やアカシジア、レストレスレッグスなどはあったりまえとして、咳ぜんそくなど内科疾患も相当多い。もちろん”睡眠を司る精神科医”なわけですから睡眠に悪影響を及ぼす物を診断出来ないという事はあるべからざることです。

それを見付けられるかが技量の問われるところであり

それはしっかりと患者様と向き合って初めて成せることなのです。




by doctor mental-ドクターメンタル  田中宗親
管理者の承認待ちコメントです。
- | 2015/01/30 06:13
管理者の承認待ちコメントです。
- | 2015/01/30 06:24
こんにちは。

田中先生の後任の先生一回目の処方にて、
「睡眠はどうですか」
「夜9時くらいにリフレックスとパキシルとアナフラニール飲んで、12時前には眠くなります。その後午前3〜4時に一回覚醒します」
「眠れてるみたいだし、リフレックスはいらないんじゃないかな。止めておきますね」

(^ω^)待って。

ようやく眠るべき時間に眠気が来るようになったのに今リフレックス抜くのはよろしくないのでは……とか、極度の人見知りでメンタル患ってる人間が初対面の先生に言えるわけもなく(チキン)

結果は先生もご存知の通りです。
夜眠れるとか眠れないとかそんなのは二の次三の次レベルで、日中の不安感が半端ない。
今すぐオフィスの窓から飛び出したい←二階
生きてるのが辛いくらいの不安感でした。

先生のクリニックが開院して、また診察が受けられるようになった時の安心感たるや。
Some | 2015/03/17 13:25
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